宮原たけし(高槻・島本選出)日本共産党

がんばってます|「議会と自治体」誌 2018年9月号 阪府北部地震
被災者救援の活動と日本共産党の役割 党大阪府議団長(高槻市・島本町選出) 宮原たけし

1 震度六弱、大阪府の観測史上初の大地震

いまだに増える住宅被害件数

 6月18日午前7時58分、私は、阪神・淡路大震災の時以上の下からの突き上げを感じた。一瞬、すわ南海トラフ大地震かと思い、命の危険を感じたが、幸い揺れはすぐおさまった。
 この二つの特徴──ひどい揺れと時間の短さ──が、膨大な数の住宅の被害件数を生み、一カ月以上経っても被害件数が増えることとなっている。8月2日現在の人的被害と住宅被害は次のとおりである(。
 この大阪府北部地震災害の特徴は住宅被害の多さであり、当初ほとんどなかった全壊が12棟になり、半壊は287棟、一部損壊は4万1563棟に上っている。ちなみに、7月13日には全壊10棟、半壊181棟、一部損壊3万524棟となっており、被害家屋が時間が経つごとに増えているのがわかるし、今後も増えるだろう。
 地震での住宅被害の経験が市民のなかでも少なく、雨が降って雨漏りで一部損壊に気がついたり、隣人に瓦がずれているのを指摘されて、自宅に損壊があることがわかった人なども多い。また、市役所に届けてもなにもしてもらえないと思っていたが、茨木市や高槻市等で住宅の改修補助制度ができて、一部損壊を届けた人も多い。また、高槻市などの場合は、国保と介護保険料が半額になると知って、被害を届けた人も少なくない。なお高槻市の場合、二次調査が192件受けつけられており(7月末月時点)、これによって半壊が全壊に、一部損壊が半壊に変わる例も増えている。

2 素早い党の対応──新幹線から取って返した山下参院議員

 今度の震災の痛恨事は、高槻市で九歳の女子児童が小学校のブロック塀の倒壊の犠牲になったことである。あいさつ運動の当番で、他の児童より十分早く登校していて犠牲になった。ブロック塀の構造は建築基準法違反であり、3年に1回の検査も手抜きで、まったくの人災である。高槻市の行政責任はもちろん、知らなかったとはいえ、私たちも、なぜ気づかなかったのかと、悔いが残る。
 震災当日、山下芳生党副委員長・参議院議員は、東京に向かう新幹線が地震で止まったときに決断して大阪に取って返し、高槻市の児童の事故現場に宮本岳志衆院議員とともに訪れた。当日すぐに、党中央の地震対策本部が設置された(本部長=山下芳生副委員長)。この早い対応が、現地の日本共産党のとりくみを後押しする一つの要因となった。ブロック塀倒壊事故現場には、辰巳孝太郎対策本部副本部長・参院議員、田村貴昭対策本部事務局長・衆院議員をふくめ、対策本部としても3回訪問調査した。震災翌日の19日には、宮本岳志衆院議員が早速、国会でブロック塀倒壊事故の問題を取りあげ、全国的な調査がおこなわれることとなった。
 日本共産党大阪府議団、高槻市議団、茨木市議団をはじめ、被災地の議員団、府議予定候補らが国会議員団とも連携し総力をあげて被災者救援にとりくみ、日本共産党は文字どおり、住民の苦難に寄り添い、被災者の要求を聞きながら、大阪府、高槻市、茨木市等の自治体への申し入れをくり返しおこなった(国への7月24の申し入れと高槻市への7月31日の申し入れは資料1、2のとおり)。
 私と高槻市議団の生活も一変し、活動のほとんどが復興、救援となった。大阪府と高槻市への要望はそれぞれ3回、府や市の職員とのくり返しのやり取り、住民要望聞き取り、情報の周知等、駅前での街頭相談、被害が多かった地域の個別訪問と自治会や各種団体等の役員への訪問活動が無数にとりくまれ、いまも続いている。出したビラは7種類になり、「こんなに情報を知らせてくれるのは共産党だけ」と感謝の声があちこちで聞かれた。
 震災発生前から、府民の諸要求実現を求めて国会議員団とともにおこなう政府交渉が7月25日に予定されていたが、前倒しして7月12日に北部地震に絞っておこない、再度7月24日には、私は単身で上京して個別に重要問題の聞き取りと交渉をした。

3 いくつかの被災者要求実現と課題

一部損壊への支援、ブロック塀改修補助

 これまで国の段階では一部損壊の住民の改修への補助制度はなかったし、都道府県段階でも京都府と鳥取県しか制度はなかったが、今回、高槻市と茨木市等で制度ができた。
 高槻市の場合、50万円以上の改修工事にたいし5万円、30万以上の改修工事に3万円と少ない額であり、茨木市は金額は多いが所得制限があるという不十分さはあるが、一部損壊が1万軒をこす両市で一部損壊の改修補助制度がつくられたことは大きな前進といえる。
 当然のこととはいえ、危険なブロック塀の撤去もすすんでいる。すでに大阪府内、九市で自治体独自のとりくみがはじまっている。なお、事故のあった高槻市では、外部の第三者による委員会がつくられ、検証作業がおこなわれており、8月中にも報告が出される予定である。また、高槻市と茨木市では、通学路に面するブロック塀が民間所有者のものであっても撤去工事への補助をおこなう制度がつくられた。茨木市では、撤去後の生け垣の整備にも一部、補助が出る。
 高槻市で、一部損壊の住民の国保料、介護保険料を20年3月まで半額にするというのも、住民の苦難の軽減を役割とする地方自治体のあり方をしめすものである。

国会議員団と協力して被災者要求を実現

 国会での質問は、現地のとりくみを激励するだけでなく多くの成果を上げている。また、国会議員団と被災地の議員団が協力して、7月12日、24日、25日と政府交渉にもとりくんだこともあり、以下のような成果を生み出している。
 ①危険なブロック塀の撤去については、宮本岳志衆院議員と倉林明子参院議員が、保育所と社会福祉施設のブロック塀の撤去に国の制度適用を約束させ、それが力になって、通学路のブロック塀の撤去については、防災・安全交付金等を利用した事業をおこなっている地方公共団体が所有者に補助する場合、国が地方負担の二分の一を負担すると、私が参加した7月24日の交渉で国交省は言明した。
 ②地震で地盤が一部崩壊した場合、自治体が後で避難路に指定すれば、国の補助制度の適用が可能という答弁を引き出した辰巳参院議員の質問は、同じような開発事例の多い日本では画期的である。高槻市では、まだこの答弁を実行させることに成功していないが、今後ぜひとも実行させたい。
 ③7月12日の全体交渉の後で、山下参院議員と私が、住宅耐震改修の制度を一部損壊で住宅の耐震機能が下がり耐震改修をおこなう場合に使えると約束させたことも大きな前進である。この場合、大阪府の10万円、高槻市の17万5千円(通常は市町村は10万円)の負担の半分が特別交付税として市町村に交付される仕組みである。
 ④7月24日に辰巳参院議員と私は、屋根に残った瓦でも震災による破損と確認されれば、災害ゴミとして自治体が処理することが可能と、環境省に確認した。この問題は、「屋根の上の瓦は産廃として処理」という方針が現場で実行されている難しさはあるが、住宅の改修費用削減となり、処理にあたって自治体は二分の一の国庫補助と地方財政措置を含め九割の負担が軽減されることとなり、住民、自治体双方にプラスになる。この問題では8月3日に環境省近畿地方環境事務所と大阪府環境農林水産部循環型社会推進室から「屋根上で損壊した瓦も災害ゴミにふくめる」という事務連絡が15市町にだされた。
 ⑤学校の耐震化について、渡り廊下が調査さえおこなわれていないことを辰巳参院議員が指摘し、対策を求めたことも重要である。現に、今回の震災でも茨木市では被害があった。
 また、避難所にもなる体育館に空調設備はほとんどない。府内では、小学校で1010の体育館のうち2カ所、中学校では653の体育館のうち5カ所にとどまっている。酷暑の多い最近の気候からも設置が急がれる。

残っている当面の課題

 前述した以外の課題として、一つは、小中学校、高校、支援学校等の危険なブロック塀の撤去について、国は予算措置があきらかにされていないという課題がある。8月中旬に全国の調査がまとめられる。ぜひとも、具体的な助成措置を実現させたい。
 二つ目は、なんといっても一部損壊の住宅にまで国の支援制度を拡充することである。
 三つには、国会議員団と連携して前進したことは前述したが、住宅耐震改修の促進、屋根に残った被災瓦を災害ゴミとして扱わせることなどについて、それぞれの現場でとことん具体化させるために、地方議員団がとりくみを強める必要があることである。

4 今後の防災まちづくりにむけて
 今後の災害に強いまちづくりにむけて、地方政治、国政に生かしていくべきと考えることにもふれておきたい。

住宅耐震化

 住宅や店舗ができて40年以上経って、改修や耐震化ができていないところの被害が多かったといわれる。阪神・淡路大震災の後、住宅の耐震化が一定すすんだが、大阪府北部地域全体では一部にとどまっている。住宅の耐震化について国と自治体のとりくみを抜本的に強めることが必要である。いまの制度のもとでは、高齢化により経済的に生活に余裕がない人が増えているなかで、耐震化がすすまなくなっている。
 また、住民に賃貸をしている、いわゆる大家さんも高齢化がすすみ、耐震改修を財政的にためらう人が増えている。まして、マンションの耐震化は、入居者の高齢化、耐震費用が多額になるなどで入居者の合意が難しく、ほとんどすすんでいない。南海トラフ地震の発生が心配される今日、国と大阪府が補助制度を本格的に充実することが急務である。

開発行政の転換

 昔、湿地や池、川であったところの被害が多かったともいわれる。地盤の弱いところ、液状化の危険が高いところなどでは一定の建築規制や移転にたいする支援をおこなうなど、住民の安全を確保する立場から開発行政のあり方を転換することが求められる。

被災者支援の拡充

 被災者の多くが高齢者であり、今後も少ない年金とわずかな蓄えで生活せざるを得ない被災者が少なくなかったことも忘れられない。家財道具の氾濫になすすべを失い、いまだに片付けがすすまず、住宅の改修どころではないという人も多い。被災者を励ましながら、使える制度を知らせていくのはこれからもっと重要になる。

5 維新府政の無策ぶり

 

維新政治の無策ぶりについてもふれておきたい。

 大阪府の施策は、全半壊299戸にたいし、応急仮設住宅・みなし仮設住民の提供は十分でなく、他は住宅改修にたいする無利子融資があるに過ぎない。しかも、みなし仮設住宅については、費用の半分は市町村負担である。
 大阪府の北部地震対策は、予算額にして1億5千7百万円に過ぎない。これにたいし、高槻市だけで20億円、茨木市で12億円近い予算が組まれている。大阪府の対策は貧弱というしかない。
 今回問題となったブロック塀改修と一部損壊への支援はいずれも市町村の独自施策であり、大阪府が支援したことはひとつもない。
 6月24日には「一部損壊への国庫補助を求める」とも松井知事は言ったが、その後の正式な国への申し入れにはその項目は入らなかった。
 ところが大阪府民は、松井知事がなにかしてくれたと思っている。これは、知事が「被災者の救援に責任を果たします」という威勢のよいことをいうたびに、マスコミが無批判にそれを流し、一切検証しないためである。大阪では維新府政を正面から論じることは、マスコミではタブー視されている。
◇      ◇
 震災から住民の命と暮らしを守るうえで、党が現在の府議会二議席から少なくとも代表質問と本会議の意見表明ができる五議席になることは、本当に待ったなしの課題である。
 また、今回の被災者救援の先頭に立ち、政策的にもリードしてくれた日本共産党国会議員団を大きくすることが切実に求められる。来年の参議院選挙では、山下芳生議員をはじめ比例での7人、大阪選挙区では辰巳孝太郎議員の必勝は絶対的課題である。そのためにも、党勢拡大「特別月間」の成功の先頭に立つ決意である。 (みやはら・たけし)